ミーハーで蛇足な日記帳もどき。ALFEEを中心に音楽ネタが多いですが 、基本的に何でもアリで節操ありません。
2011/03/03 Thu 19:33
 昨日はレディースデイだったので、今年度のアカデミー賞最多12部門ノミネートされ主要部門の4部門(作品賞・主演男優賞・監督賞・脚本賞)を受賞した話題作『英国王のスピーチ(英題:THE KING'S SPEECH)』を観て来ました。
 さすがアカデミー賞効果というべきか、中途半端な時間帯だったのに8割がた客席は埋まっていましたね。

『英国王のスピーチ』 ≪あらすじ≫
 幼少時代から吃音症に悩み続けていた為に内気な人間に育ったヨーク公アルバート王子…後のジョージ6世(コリン・ファース)は敢えて人前に出るようなことは避けてきたが、父親である英国王のジョージ5世(マイケル・ガンボン)の指示により式典でスピーチをする場が訪れた。しかし吃音が出てしまったジョージ6世は緊張の余りスピーチをすることが出来ず国民の前で恥を晒してしまった。
 そこで妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は人伝に吃音矯正の専門家であるライオネル(ジェフリー・ラッシュ)の存在を知り彼に吃音症の診察を依頼をするが、今まで色んなドクターに看てもらっても何一つ良くなっていなかった為にジョージ6世自身がライオネルに否定的な態度を取ってしまう。

 …という、現エリザベス女王の父親に当たるジョージ6世の実話に基づいた話です。

『英国王のスピーチ』 ジョージ6世が吃音症に悩んでいたという事実を、私はこの作品で初めて知りました。
 物語がドキュメンタリーのような作りで淡々と進行していくせいか、ジョージ6世のスピーチに対する緊張感が観客側にもヒシヒシと伝わってきて、これは主演のコリン・ファースのリアル過ぎる演技力の賜物だと思うのですが、もう彼の口元や緊張した眼差しがアップになる度にこっちもドキドキ、集中して聴こうとする国民たちの視線に冷や汗が…という感じなのです。
 特に前半なんて、喋る以前に人前に出ることが苦手だ…というのがオーラで伝わってきて、こういう人が王族にいると当人はもちろんだけど、周囲の人達も大変だよなぁと妙に伝わってくるんですよ。

 映画なんだから別に「無音」の状態が続いたって良いわけですが、状況が状況なだけにその「無音」の状態が居た堪れなくなる。あれほど会話と会話の「間」に緊張感が漂う作品も珍しいかもしれません。今にして思えば、あの「間」は作品上での絶妙な演出でもありましたね。

『英国王のスピーチ』画像3 そして、ジョージ6世の吃音症を改善させる役を担うことになるライオネルの存在がこれまた良いんですよ。ライオネルは吃音の専門家だけではなく、シェイクスピア好きな役者志望者でもあり、彼が所々に挟むシェクスピアの即興演技や例え話が物語の流れに上手くリンクしていて、正に"言葉巧みに物語の世界観に惹き込む"存在でした。
 ジョージ6世とライオネルが語り合うシーンは時に感情的になるので見応えがあって、まるで二人芝居を見ているかのような迫力。たまに「これって、子供の罵り合いなんじゃないか?」と感じる時もあって実にユニーク。、この作品は、役者さんが相当大変だと思いますけど(笑)舞台化も可能でしょうね。とにかく、二人の人間関係が素晴らしかったです。

 しかし、物語としては期待していたよりもフツーだな…というのが正直な感想です。もちろん事実に基づいている作品なので下手にいじれないというのもあるんでしょうけど、もっと感動の押し売りをしてくるものだと思っていました。
 それでも最後まで作品の世界観に惹き込まれたのは、主演2人の巧さと脚本の素晴らしさでしょうね。言葉の一つ一つがちょっとした伏線になっていたりして、本当に「あっ、この台詞って、ああ、そうなのか…」って思えたりしてね。鑑賞する度に新しい発見を見つけられる作品ではないでしょうか。変な言い方かもしれませんが、「普通だったけど、また観てもいいかも」って思いましたから。

『英国王のスピーチ』画像4 だってジョージ6世は生い立ちからして大変なのに、お父さんがあーなって、お兄さんがこーなって、世界情勢があーなっちゃって…と、物凄く激動の時代に中心人物にならなければならなかった人で、ホントにお気の毒にとしか言いようがないくらい大変な苦闘を強いられる。だから、例え淡々に描いていようとも彼を取り巻く緊張感はハンパないじゃんっ!と、目を離すことなんて出来ないんですよね。

 決められた人生を生きていくしかない人間の苦悩と葛藤がリアルに描かれているからこそ、クライマックスでは静かなカタルシスも感じられるわけで、最近の日本のドラマでは見ることが出来ない完成度の高い脚本と演出を十分に堪能できます。

 それに、ずーっと殺伐とした展開の映画ばかり鑑賞していたので、久しぶりに穏かで心温まる作品を観られて安心してしまいました。

 あと、物語を華を添える感じに流れる音楽も良かったですね。またサントラ盤に手を出してしまいそうだわ…。


 「エンディングのキャプションを読んで何故か切なくなった」→★★★


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テーマ:洋画 - ジャンル:映画

2011/02/16 Wed 21:47
 先日、映画『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』を観て来ました。この作品は、去年の11月だったかな?『十三人の刺客』を観に行った時に予告編を初めて観まして、久しぶりに予告だけで「観てみたい!」と思い勢いで前売り券まで買っていました。

太平洋の奇跡≪あらすじ≫
 舞台は1944年6月のサイパン島。
 太平洋戦争が末期を迎えていた頃、陸軍歩兵第18連隊の大場大尉(竹野内豊)はサイパン島で日本の勝利を信じてアメリカ軍と激しい戦闘を続けていたものの、圧倒的な戦力を持つアメリカ軍を前に劣勢は明らかであった。そして玉砕覚悟で奇襲に挑んだ日本陸軍であったが、そこで大場は無意識に"生きる"ことに執着しまったことで、日本が勝利するまで残された仲間と共に抵抗を続けて、山奥に逃げ隠れていた民間人を守り抜く道を選ぶ。そして、そんな彼の行動にアメリカ軍は翻弄されていくのだった。

 …という内容で実話を基にしているのですが、何が凄いってこの原作がアメリカ人によって書かれたということです。いわば敵対していた人間が大場大尉の存在に敬意を表して執筆したからこそ、「歴史に埋もれた真実」として今も語られているということなんですからね。

太平洋の奇跡・画像1 原作がアメリカ人だからか、サイパンでの激戦の描写は比較的軽くて戦争映画にありがちな残酷なシーンはかなり少ないです。むしろ、「こんな温い戦いでは無かっただろ。もっと酷いことしていただろ!」と思うくらいなんですが、逆に窮地に立たされた人物の心理描写というか表情は比較的丁寧に撮られているので、それぞれが迎える結末に「戦争って何なの?生きれば勝ちなの?死ねば負けなの?どっちも正しいのに何で殺し合うの?」と思わずにはいられない遣る瀬無さを痛感させられます。
 それに、戦闘シーンではなくても、大場大尉が終盤で部下のあるシーンを目撃してしまうのですが、そのシーンの部下の慟哭と大場大尉の表情に物凄く戦争の残酷さと虚しさを感じて、本当に涙が止りませんでした。特にあの時の竹野内さんの表情が凄まじくて、一番印象に残っています。

 ただ、この作品は日米合作で日本軍側を日本人監督、アメリカ軍側をアメリカ人監督が撮影していたせいかシーンによっては温度差があり、2つの作品を同時に観ているような感覚になる時もありました。それが当時の日本軍とアメリカ軍の境遇の落差ともリンクしているのかもしれませんが、双方を平等に描いてしまったことで、大場の人物描写が少し物足りなくも感じたかな。でも、これは飽くまでアメリカ人による原作なので仕方がないことかな?実話なだけに妙な脚色は出来ないだろうからね。

太平洋の奇跡・画像2 人物でいうと、山田孝之さん演じる木谷曹長、阿部サダヲさん演じる捕虜になっていた英語が話せる日本人の元木の存在が凄く印象に残りました。どちらの心情もよく理解できるだけに(そして、その信念は決して間違ってはいないと思うだけに)、二人がそれぞれ決断することというか結末には胸を締め付けられる想いでした。彼らの存在を考えると、例え終戦を迎えても「ああ、やっと終わった。良かったね」という気分には絶対になれない。
 このように心理的にはズシンと戦争による人間の残忍さ脆さみたいなのを痛感させられるので、凄く重苦しい気持ちにさせられます。

 不満点を上げるのならば、副題に「フォックスと呼ばれた男」と付いているのに、大場大尉が何故アメリカ軍から「フォックス」と呼ばれ恐れられていたのかが具体的な描写が少ないってことでしょうか。その辺りの描写が取って付けたような印象を受け、どれだけのアメリカ兵が大場を恐れていたのか少し解り難かった。
 しかも作品全体が大場という存在を客観視しているせいか、大場自身の内面描写が浅かったので実在の人物でありながらややファンタジックな存在にすら感じてしまう場面もあり、そんな中でも妙なリアルさを感じたのは演じた竹野内さんの力技が大きいと思います。
 これは大場だけによるものではないですけど、全体的に役者の"表情による演技"に頼っている感が強かったですね。先にも書きましたが、もう少し大場隊側の描写を長めにして、それぞれの人間模様をしっかり描いて欲しかった。そこが日米2人の監督を起用した難点かも。

太平洋の奇跡・画像4 でもでも、他にも不満点はあるとはいえ、それ以上に実話が作り出す重さというか、キャストの存在感や情熱が物凄いので、そういう部分は最終的にどうでも良くなってしまうというのが本音です。
 物語の終盤、大場大尉は残った仲間と共に軍歌を合唱しながら行進をするのですが、このシーンは本当に言葉にならない感情の揺さ振りがありました。歌詞もそうなんだけど、その時の兵士の一人一人の心情を想うとね…。あのシーンに物語の全てが集約されていたような、それぐらいの痛烈なメッセージを感じました。

 この作品は、出来るだけ多くの若者に観て欲しいなって思ったのが、鑑賞後の率直な感想です。戦争映画独特の残酷描写は少ないから、かなり若い子が観ても良いんじゃないかな。今は日本が敗戦国だっていうことすら知らない子供もいるんだし、むしろ敗戦をしらない子達に観て欲しいです。そして、あの終盤の行進のシーンに"何か"を感じて欲しい。
 …て、私はすごい年配の人みたいなこと書いてるな(笑)。それだけ、年を取ったということかしら。

太平洋の奇跡・画像3 特に私の母方の祖父は戦地でアメリカ兵から銃弾を受けたけど奇跡的に助かった人なので、祖父もこういう経験をしてきていたんだろうな…と感じて、余計に心を強く揺さ振られたのかもしれません。祖父は自分から戦争経験を語ることは死ぬまで無かったですが、なんとなく今はその気持ちが解るような気がします。「語りたくない」じゃなくて、「語れない」だったんでしょうね…。

 大場大尉が自分に敬意を表してくれていたアメリカ兵に最後に言う台詞が重くて、祖父が戦争のことを一切語らなかった姿とも重なり、こういう人達の礎があるからこそ、今の自分達が存在するって意識しなければ申し訳ないという気持ちにもなりました。
 あんな極限の状況下の中で決してブレない信念というのは凄まじいですし、それがアメリカ軍を恐れさせた「大和魂」というものだったんでしょうね。

 それから加古隆さんの音楽が物語の世界観とマッチしていて素晴らしかったので、サントラ盤の購入は間違いないです。

 「想像とは違った戦争映画で良かったけど、決して"奇跡"ではない」→★★★


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テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

2011/02/02 Wed 18:40
 レディースデイだったので映画を観に行ったのですが、最近は新作が出る量もペースもかなり早いですよね…。"観たい"と思っていた作品の上映時間と都合が上手く付かない上に、次々と新作が公開されるから見逃してしまうことが増えてきております。うーむ…。

映画『RED/レッド』 そんな中で都合を付けたのが先週から公開されている洋画の『RED/レッド』でした。劇場でトレイラーを初めて見た時から、「超豪華キャストなのに、物凄くぶっ飛んだ内容っぽい♪」とかなり興味を惹かれていた作品です。だって、あの『クウィーン』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したヘレン・ミレンが「殺しは得意なの♪」と笑顔で言ったり、マシンガンを放つんですから(笑)フツーの作品じゃないでしょうっ!
 タイトルの『RED』はRetired(引退した)、Extremley(超)、Dangerous(危険な人物)の略で、再集結したメンツの総称となっていて、この設定だけで相当ぶっ飛んだ内容だとは容易に想像が付きますが(笑)

 そうそう、トレイラーといえば5/20から世界同時公開される『パイレーツ・オブ・カリビアン~生命の泉~』の映像にはテンション上がってしまいましたわ。あのテーマソングとジャック・スパロウだけでも「おおっ♪」ってなっちゃうんだよね~。

映画『RED』画像1≪あらすじ≫
 腕利きのCIAを引退したフランク(ブルース・ウィリス)は平凡な日々を送り、顔も知らない年金課のサラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)と電話で会話することを唯一の楽しみとしていたが、ある晩に正体不明の部隊から襲撃を受ける。しかも、その襲撃にはCIAが絡んでいることを調べ上げたフランクは、自分と同じく既に現役を引退していた元上司のジョー(モーガン・フリーマン)に、宿敵の同僚マーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)、元MI6諜報部員のヴィクトリア(ヘレン・ミレン)という凄腕の仲間を集め、自分達を暗殺しようとする敵に挑むのだった。

 …というハリウッドのアクションムービーらしい判り易いストーリーです。なんとなく『特攻野郎Aチーム』の過激版ぽいかも?
 ただ、冒頭はフランクの平穏な生活の描写が続くので、「あれ?想像していた内容と違うかも…」と思ったんですが、フランク達が現役時代の力を覚醒させた後はド派手というか大胆な展開の連続です。もうね、マシンガンどころじゃないから…ホントに(笑)

映画『RED』画像2 REDのメンバーは豪華キャストで固めてますけど、紅一点のヴィクトリア演じるヘレン・ミレンのカッコ良さったらありません。マシンガンを構えた姿が様になることっ!それでいて、ちゃんと女性らしい部分の描写もしっかりあるのだから最高です。彼女の存在感が凄過ぎたせいで、アクション映画には定評のあるブルース・ウィルスが大人しめに感じてしまったほど。まぁ、REDのメンツのやることは全て過激なんですけどね(笑)。とにかく、ヴィクトリアが活躍するシーンが一番ワクワクしました。痛快を通り越して痺れますっ♪←このノリになる時点でヤバイかも?

映画『RED』画像3 もちろん、モーガン・フリーマンやジョン・マルコヴィッチも濃いキャラで、特にマルコヴィッチはオイシイ変人キャラでアクション面にも変人ぶりが生かされいて、前半のアクションシーンなんて最高でした。ぬいぐるみを持っている姿もキュートだったんだけど、アレがまさかね~…(笑)
 ちょっと残念だったのが、モーガン・フリーマンの見せ場が思っていたよりも少なかったことかな。味のあるキャラクターだっただけに、もうちょっと目立った活躍を見たかったなぁ~というのはあります。いえ、作中では十分にキャラは目立っていましたけど、ブッ飛んだアクションシーンがもう少し観たかった。そういう意味で少し勿体無かったですよね。

映画『RED』画像4 そんな感じでオジサマ、オバサマの活躍ぶりがとにかく最高だったわけですが、彼らを追うCIAの敏腕捜査官のウィリアム(カール・アーバン)がこれまたカッコ良いんだな。多分、REDよりは精神的にまともだと思われます(笑)
 REDが凄腕集団な分、敵対する人物も腕が立ち魅力的なキャラクターになっていると、俄然アクションシーンが面白くなりますとも。もしかしたら、REDのメンツよりもウィリアムに共感する観客も少なくないんじゃないだろうか。
 ただ、彼とフランクのアクションシーンでエアロスミスのBGMが流れた演出は謎。『アルマゲドン』狙いだったのかしら?←全く違うって

 正直、フランクはじめREDの面々が狙われた理由が強引で説得力に欠けるなぁ~というのはありましたが、気軽に楽しむアクションムービーとしては十分に面白かったと思います。やろうと思えば続編もいける内容だったし(既に計画されているらしいですが、是非とも同じキャストでお願いしたい!)、とにかくオジサマ&オバサマの凄腕ぶりを堪能するべしって作品ですね。

 あの展開で恋に落ちるサラもかなり過激な人物だと思われる(笑)→★★★


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2011/01/19 Wed 20:11
 2011年になって初めての映画館に足を運んだ作品は『相棒-劇場版II-警視庁占拠!特命係の一番長い夜』になりました。
 観たい作品が何本かあってその中でも自分の都合と上映時間が合ったのが『相棒~』だったんですが、今年初の映画鑑賞とはいえ、この作品は去年のX'masシーズンに公開された作品なんですよね。既に公開から1ヵ月近く経っているにも関わらず、レディースデイということもあってか客席は8割がた埋まっていて、このシリーズの人気の高さを物語っていましたよ。さすがですね~。

『相棒-劇場版II-』≪あらすじ≫
 ある夜、警視庁本部の会議室に男が押し入り、田丸警視総監(品川徹)ほか幹部12名を人質とした篭城事件が発生する。
 偶然にも事件直前の犯人と遭遇していた神戸尊(及川光博)は直ぐに杉下右京(水谷豊)に連絡を取り、杉下は独自の情報収集を行い篭城犯の素性を突き止める。しかし、膠着状態だった会議室内に銃声が響き渡ったことでSITと機動隊が強行突破に踏み切り、篭城事件は犯人が射殺されるという形で幕を閉じた。
 ところが、犯人が何の要求もしてこなかった事から何故篭城事件を起こしたのか理由が判らず、人質になった警察幹部は一様に曖昧な証言をするに留まり、犯人の目的も解明されないまま捜査が終わりそうになってしまう。そこに杉下が疑念を抱き、神戸と共に犯人が篭城事件を起こした理由を探っていくが、そこにはある陰謀が仕組まれていたことに辿り着く。

 という話で、前作の『相棒-劇場版-絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』が庶民を巻き込んだエンターテイメント性の高い作品としたならば、今作の『相棒-劇場版II-』は発端が警察内部で起きた事件だっただけに閉鎖的な雰囲気が強く、互いの腹の探り合いや駆け引きで展開していく内容で人間ドラマがメインになった作品だという印象を受けました。

『相棒-劇場版II-』画像1 右京さんの相棒が亀山から神戸に代わったことでシリーズの雰囲気もガラリと変わり(でも、右京さんは基本的に変わってはおりません)、人気TVドラマシリーズの映画化第2弾なのに前作のヒットに奢ることなく、『相棒-劇場版II-』ならではの独自のカラーをしっかり出してきたのは見事としか言いようがない。
 どうしても人気シリーズともなると、「これって前作と同じような展開じゃない?」というお約束的な展開が目に付いてしまうものなんですが、今作は初放送から10周年を迎える今だからこそ出来る内容に敢えて挑戦してきたとようも見えたな。

 あれだけ人気を博した亀山という天然系熱血キャラの後継となった神戸は、クール系でインテリっぽいから少し右京さんと被るんじゃないか?と当初は感じましたが、まだ若いだけに時に感情的になる部分や右京さんとは違った形で上の人間に関わっていくところなど、しっかりキャラが立っているし、『相棒』というシリーズを長期化していく上で良いカンフル剤になっているんじゃないでしょうか。私はミッチーが作り上げた神戸尊というキャラクターは好きです。
 まぁ、所轄との揉め事みたいなお約束的なやり取りが希薄になっちゃったのは少し残念なところではあるんですけどね。

『相棒-劇場版II-』画像2 物語の主人公である杉下右京は最初から最後まで自分の信念というか正義に全くブレがなく、そこが右京さんの持ち味でもあるんですが、終始作中に漂うモヤモヤとした雰囲気の中でその右京さんのブレない信念が周囲の人間に影響や刺激を与えていくところが非常に見応えがありました。
 だからこそ、右京さんの最後の台詞も凄く重みがあるんですよね。エンディングはちょっと唐突な終わり方だとも感じましたけど、「新たな挑戦の始まり…」のようにも感じて、まだまだ『相棒』シリーズは続いて欲しいなって思ってしまいましたもの。

 前作が初映画化ということもあったんでしょうけど、かなりスケールの大きい内容だっただけにエンターテイメント性や痛快さを求めるのならば前作の方に軍配が上がるとは思うんですが、事件は一段落したはずなのにスッキリとしないモヤモヤ感が残るところや、今後の右京さん…特命係の動向が気に成る度合いからいえば今作の方が上だと個人的には感じています。

 それに、今回は警察内部で起きる事件がメインなので全体的にシーンが閉鎖的で、「これだったら前後編に分けてTVシリーズでやっても良かったんじゃないの?」とも思った部分もあったんですが、ラストに衝撃の展開がありまして、これは10周年目を迎えた記念の映画で持ってくるしかないよな…って思うしかないくらい本当に衝撃的なシーンなんですよ。
 物凄いネタバレになるので詳しくは語れませんが、「ええ~っ、こ、こんな結末なの…?」と色んな意味で唖然としてしまいましたね。これもスタッフ側の狙いであり、今後への挑戦なんでしょう。
 むしろ、あまりに衝撃的な結末で、それまでの物語が全部頭の中から吹っ飛んでしまったというのもあるかも(笑)

『相棒-劇場版II-』画像3 あと、忘れちゃならならない岸部一徳演じる小野田官房長官の相変わらずの存在感の凄さっ。右京さんの理解者のようでもあり一番の敵でもあるような立場は健在で、飄々としながらとんでもないことを言ってのけたり、返答に困る自論を展開してきたりと腹黒さ全開。ホントに愛すべきサブキャラです。
 今回も右京さんとのお食事シーンがあって嬉しかったわ(笑)。欲を言えばもうちょっと観たかったけど、それだと話の本筋から離れ過ぎちゃうからね。いわゆる"遊び"的なシーンでも、しっかり物語の核心に触れていたりするところが『相棒』シリーズの良さでもあると思います。

 とにかく、「スケール感が小さくて内容としてはTV向き?」という感も正直ありましたが、「やっぱり上に立つ人間って、下の人間の言うことなんて揉み消すことしか考えてないのね!キーッ!」みたいな焦燥感を煽られると同時に、「どこまで自分の正義を貫くか?」というのも考えさせられ、そして物語の最後には、その正義を突き詰めた結末に唖然となるという、かなり見応えがあって余韻も残る面白い作品でした。
 なんだかんだで10年続けていきながら、作品のクオリティをここまで維持できるって凄いですよ。


「右京さん…特命係にとって一番長い夜があんな夜だったとは…」→★★★

 【追記】
 なんかTVで流れている予告CMでもネタバレをしているみたいなので、以下、ネタバレを含む感想を書いています。これから作品を鑑賞される方や、ネタバレが嫌な方は読まないで下さいね。

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