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PC画面表示でご覧ください。蛇足な日記帳もどき。ALFEEを中心に音楽ネタが多いですが 、基本的にミーハーで節操ありません。
2010/01/27 Wed 23:06
 レディースデイだったのでテリー・ギリアム監督作品の『Dr.パルナサスの鏡(原題:The Imaginarium of Doctor Parnassus)』を観て来ました。
 まぁ、ちょいと凹むことがあり、現実逃避したかったというのもあるんだけど(笑)

Dr.パルナサスの鏡 この作品は主演のヒース・レジャーが撮影半ばで急死した為に完成が危ぶまれたものの、彼と親交があったジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が代役を演じて完成したことでも話題になりました。
 ヒースにとっては未完の遺作となってしまいましたが、彼の意志を継いだ3人のハリウッドスターがを代役を務め完成しただけではなく、自分達のギャラをヒースの娘のマチルダに全額寄付したことでも有名。
 そんな悲しい偶然で完成した作品でもあります。


 物語の舞台は時代が不明なロンドン。
Dr.パルナサスの鏡・画像3 パルナサス博士率いる旅一座は人々に"幻想館"のショーを見せて、「この館には自分の幻想が叶って素晴らしい体験ができる鏡がある」と謳い、"魔法の鏡"の中へ入るように誘うが、常にショーの客は疎らで魔法の鏡に関心すら示してくれない。
 こんな状況に一人悩み怯えるパルナサス博士…、なぜならば自分が不老不死でいられる代償として一人娘ヴァレンティナが16歳を迎えた時に悪魔へ差し出すと取引していたからだった。そして、ヴァレンティナが16歳の誕生日を迎える日まであと僅かとなった時、博士の前にトニーという記憶喪失になっている謎の男が現れてショーが賑わい、再び悪魔が博士に新たな勝負を提案してきた。

 …という内容で、人間の幻想や欲望や葛藤を圧倒的な映像美と独特の描写で表現しているサスペンス・ファンタジー作品です。

 もともとテリー・ギリアム監督はかなり哲学的な人で、過去の作品もストーリーが難解な作品が多いですが、この『Dr.パルナサスの鏡』は今まで以上に監督の哲学が炸裂している内容なので、「ハマる人はとことんハマる作品」、「ダメな人はとことん受け付けない作品」かもれしない。『バロン』が好きな方は絶対にハマる気がします。逆に、あの作品が苦手だった方はダメかも。特に出演している役者だけが目当て!という人は、拒絶反応が起きちゃいかもしれません。それだけ、監督独自のワールドが炸裂してます。
Dr.パルナサスの鏡・画像4  ただ、個人的にはこの幻想的な世界を是非映画館で観て欲しい。意外にヴァレンティナ役のリリー・コールが良かったんですよ!さすがスーパー・モデルだけあってスタイルは完璧なんですが、それ以上に幻想的な世界にハマるほどの独特の美しさに魅了されました。ヒロインというより、正にミューズ的な存在でしたね。


 先にも書いた通り、賛否両論真っ二つの感想に分かれそうな作品でしたが、私はこの世界観は好きです。
 誰だって「現実逃避」したい時ってあるじゃないですか。私は正にこの映画を観た時はそういう心境だったんですけど(笑)
 でも、「現実逃避をしたところでも、戻ってしまえば現実がある。それから再び逃げるか?受け入れて乗り越えるか?」というのかな。
 誘惑に堕ちる代償の大きさを判っているんだけど抗えない人間の弱さとか、そこを愉しんでいる悪魔とか、あの監督らしい面白い描写でしたもん。それでいて、「人生観」で何気に少しグッとくるような印象に残る台詞が、たま~にあるのがニクイっ!

Dr.パルナサスの鏡・画像1 また、博士が悪魔との取引で得た「魔法の鏡」の存在がメインにはなっていますが、あの鏡は博士と悪魔の勝負の"道具"に過ぎないんじゃないか…と観終わった後に感じましたね。「悪魔のゲーム」だったというか、誘惑に抗おうとする人間は、悪魔にとって最高のターゲットというか餌なんじゃないかなって。でも、悪魔が登場していて宗教的な要素も強いはずなのに、宗教哲学を押し付けるような雰囲気ではない。そこが、ギリアム・ワールドにハマッちゃう部分かもしれません。

 とにかく観終わった後、とことん語りたくなる作品です。もちろん、ここで語るとネタバレオンパレードになるので語りませんが(笑)、私にとっては、そういう映画でした。

 そして、なによりヒース亡き後の代役を務めた役者陣がどんな演技を披露しているのかにも興味がありました。
 ジョニー・デップはさすがファンタジー作品を得意とするティム・バートン監督と何度もタッグを組んでいるだけに、この作品のファンタジックな世界にも溶け込んでいました。ジュード・ロウはなんとなく『A.I.』の時の雰囲気を彷彿させていましたね。ちょっとしたコミカルな動作が印象に残りました。そして、コリン・ファレルは一番キャラクターが掘り下げられるシーンに登場していたので、強烈な印象が残ったと同時に、思わず「ああ、このシーンはヒース自身も演じたかっただろうなぁ」と感じてしまうほど。

Dr.パルナサスの鏡・画像2 ハッキリ言って、風貌の演技スタイルもまるで違う3人がヒースの代役を務めるのはどうよ?と観る前は思ったりもしましたが、「鏡の中に入ると、相手の理想の顔になる」という設定になっていたので違和感は無し。むしろ、自分の顔が違って見えることに気付いた時の3人の仕草が何気に似ていてツボ。
 一人の役を四人で演じていることの違和感は無かったし、むしろそれが作品世界の魅力に繋がっていくところなんて、監督の力量と代役を務めた3人のヒースに対する敬意の表れのようにすら感じました。

 そしてヒース・レジャー。
 撮影の前半で亡くなってしまったので、思っていたよりも出演シーンは少なかったものの、あの多面的な"存在感"はさすがでした。正直、登場シーンは物凄いインパクトがあって、少し動揺してしまったほどだったんですが、謎が付き纏うトニーのキャラクターを滑稽に演じている姿が様になっていました。
 『ダーク・ナイト』を観た時も感じましたが、彼がスクリーンに登場する度に「ああ、もうヒースの新しい演技を観ることはできないのか」と、早過ぎる死が悔やまれてならない。

Dr.パルナサスの鏡/ヒース・レジャー 叶えられないことは百も承知で言わせて頂きますが、3人が代役を務めたトニーのシーンをヒースの演技で観てみたかったな…というのが本音です。決して3人がダメだったという訳じゃなくて、それだけ3人が「ヒースだったらどう演じていたか?」を念頭に入れていたんじゃないかって思うくらいに、トニーは本当にヒースの為の役だったんだなぁと感じるんです。3人がヒースのことを心から理解しているからこそ、そう感じられたんだと思います。

 また、ヒース演じるトニーが持っている携帯電話の着信音は、当時ヒースもプライベートで使っていた着信音だったそうです。それを知っていただけに、エンドロールの演出には少しグッとくるものがありました。


 戻れなくても、あの鏡の中へ私も入ってみたい♪それだけ魅惑的!→★★★★


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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画


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