ミーハーで蛇足な日記帳もどき。ALFEEを中心に音楽ネタが多いですが 、基本的に何でもアリで節操ありません。
2011/11/07 Mon 21:18
 うわ~…、また書き込み期間が空きましたわ。気付けばもう11月ですよ、アナタっ!年賀状とか発売されちゃってますまよっ。

 なんか公私共にほんとバタバタで、それに加えて3日連続で寝違えるわ、11月に入ってから蚊に刺され異様に腫れて痛くなるわ、微妙に不運続きのななんぼさんです。今日は寝違えなかったけど、左斜め後ろから声を掛けられると機嫌が急降下します。一昨日までは殺意を抱いていたから、かなり改善してきた方です。←危険人物

 6日は銀河劇場まで市村正親さん主演で2年ぶりの再演となる舞台『炎の人』を観て来ました。初演の時は観に行けなかったのですが、この舞台で市村さんは読売演劇大賞と紀伊國屋演劇個人賞をW受賞しておりまして、同じく演出の栗山民也さんも読売演劇大賞で演出家賞を受賞し、そのコンビによる再演なんですから期待してしてしまいますわ。

 しかもこの日は終演後に市村さん、益岡さん、富田靖子さんによるトークショーが開催されまして(前もって告知されていなかったのでビックリでしたわ!)、どういう気持ちで演じているのか、舞台にまつわる秘話を語って下さってラッキーでしたっ♪

舞台『炎の人』 ベルギーの炭鉱の街で宣教師として暮らしていたヴィンセント・ゴッホ(市村正親)だったが、献身的過ぎる言動の余り己の無力さを痛感すると同時に信仰を疑うようになり職を追われてしまう。
 その後オランダに移り住んで画家として生きる道を模索するが貧しく哀れな女シェヌ(富田靖子)への愛に溺れ、その激情さに唯一のパトロンどころかシェヌまで失うことになり、自分を金銭的に支えてくれる弟のテオ(今井朋彦)に縋ってパリへ出て来るが、そこで出会った印象派の若い画家達の華やかな個性と鮮やかな色彩センスに強烈な影響を受ける。中でもゴーガン(益岡徹)の存在には尊敬を通り越して憎悪すら抱いてしまうほどの衝撃を受け、ヴィンセントは身も心も削るようにして絵を描き続けることに没頭していくものの、認められない才能に苦悩していき次第に精神を狂わせていくのだった。

 …という話で、純粋過ぎる余りに己の信念と理想で他人どころか自分をも追い詰めてしまう一人の男の生涯を、時に激しく…時に切なく描いている舞台でした。

 ヴィンセント・ゴッホは「ひまわり」などが代表作品とされる世界的に有名な画家の一人で、今では彼の作品がオークションに出されれば億単位の値が付くほど高い評価を得ている画家でもありますが、彼が生きている間は1枚も絵が売れなかったという不幸な人でもあります。

 だからこの舞台を観終わった後、ゴッホに対する今の評価に憤りと虚しさを覚えるというか、彼が身も心も狂わして正に命懸けで描いた作品が当時は1枚も評価されないでいたのに、世を去ってから認められたという皮肉が何ともやり切れません。

 もちろん、才能もあって評価されるべきなのに死して尚いまだに評価を得られない画家も少なくは無いだろうから、作品が世界的に日の目を見たゴッホはまだ幸せな画家と言われるべきなのかもしれないけど、強烈な個性と実力を持つ他の画家達に囲まれる中で孤独に喘ぎ認められない才能に苦悩し、自らを追い込んでいったゴッホの生き様を舞台の中とはいえ見せ付けられると、「何で、当時の芸術を愛する人達はゴッホを無視したんだ?」と思わずにはいられない。それだけ市村さん演じるゴッホには鬼気迫るものがあり、自分を見失うほど絵を描くことに情熱を傾けていく姿が痛々しくもありました。

 しかも互いの強烈な個性が度々ぶつかり合う激しい舞台でありながら、この舞台のエピローグは静かで穏かで…そして何よりも美しいことに驚かされます。あのラストシーンを観てしまうとね、観客は"その後のゴッホ"に察しがついてしまい、文字通り大切な炎が静かに燃え尽きていく様をただ見守るしかないような虚しさが残り、同情でもない憐れみでもない…言葉には表現できない"何か"に胸を打たれます。

 私はそんなに数多くの舞台を観て来たわけではないですが、こんなにも美しくも儚く虚しいラストシーンを初めて観ました。

 それに、この舞台は三好十郎さんの戯曲『炎の人』なので、ゴッホという異国の人物を扱った作品でありながら台詞に妙な説得力と重みがある。日本人が描いた作品だけあって、日本人だからこそできる舞台だったと思います。

 以下、終演後のトークショーについて書いていますが、当然のことながら舞台内容のネタバレを含むのでご注意下さい。


web拍手



 終演後に10分間の休憩を挟んだ後、市村正親さん、益岡徹さん、富田靖子さんが役柄の衣装のまま舞台に再登場しまして、司会者を入れて4人で20分ほどのトークショーが開催されました。
 舞台上は下手から司会者・富田さん・市村さん・益岡さんという並びで椅子に着席スタイルです。

 予め用意された質問にそれぞれ答えていくという流れでしたが、終盤では客席にも質問を投げ掛け富田さんがマイクを持って客席に下りて直接聞きに言ってしまうサービスぶりを披露♪
 中には益岡さんのことが無名塾(役所さんと共演した『ハムレット』)からファンだという方や、市村さんのことが劇団四季(『エクウス』)からファンだという方もいらして凄かったです。

 印象に残った内容は、富田さんは今回カンパニーに初参加だったので、「大ベテランの市村さんと益岡さんの胸を借りながら自由に演じさせて頂いていると語った後」に、一人三役している中で特にシェヌは激しい台詞回しがあるせいか「初日が終わったら顎に痣が出来ていた」と告白。今は顎の痣は消えてきているそうですが、公演を毎に体に痣が増えているらしく「これからも頑張って増やしていきたいと思います(笑)」と凄い意気込みでした。

 益岡さんはこの舞台で好きなシーンは初演の時もそうだったんだけど、ゴーヤンとゴッホの最後の別れのシーンでゴッホが客席に背を向けながらゴーヤンに「ポール、行ってしまうのかい?」と縋るような表情を向けてくるシーンなんだそうです。なんせ何とも言えない市村さんの表情を益岡さんだけが独占できるわけですから、「役者冥利に尽きます」とその時は市村さんの素晴らしい芝居を堪能させてもらっていると同時に、優越感に浸っているんだとか。
 あと、自分が出ていないけど、「この舞台のラストシーンの荘厳な美しさは本当に素晴らしいです」と絶賛。黙々と絵を描くゴッホを手前でその後のゴッホについて語る中島しゅうさんのモノローグがまた素晴らしくて、稽古場の時から感傷に浸って観ていたそうです。

 市村さんは再演でも「演じる度に新たな発見が必ずある。やはり舞台は生モノ、日々演じながら成長し発見があるのが舞台の醍醐味」と熱く語っていました。あと、常に何かに飢えているゴッホの雰囲気にリアル感を出す為に、朝食は通常の1/4、舞台前の昼食も通常の1/4、夜もお酒を呑みたいからおかずだけ…という食事制限をしているというのには驚きました。
 司会者の方からも「それでは舞台中の体力が持たないのでは?」と心配されていましたが、「エネルギー不足から出て来る激情こそがゴッホの生き様なんだと思います。これで満腹状態で演じてしまったら、常に貧しく飢えているゴッホという存在に説得力が無くなってしまう」と見事な役者根性を垣間見せてくれましたね。

 そうそう、ファンからも質問で「ゴッホという辛い役を演じた後で幸せな家庭に帰ったらギャップが大変なのではないですか?」みたいなのがあって、市村さんは「この後はオカマさんになるし(『ラ・カージュ・オ・フォール』)、この前はカミソリで自分の耳じゃなくて人の首を切る男(『スウィーニー・トッド』)を演じていましたから(笑)、切り替えはちゃんと出来ていますよ。家庭は幸せが一番です♪」と答えてくれました。
 相変わらず家族の話題になると、見かけはゴッホなんだけど別人か?て思うくらいデレデレになる市村さんなのよね~(笑)

 この作品は再演だけど「またいつか再再演して欲しい」という要望に対しては、「この作品…初演は舞台批評やお客様の口コミで話題が広まったのがキッカケで成功して再演が決まったので、またの再演はお客様の口コミに掛かっていますので、帰ったら近所の人達とかに広めていって下さい」と市村さんが客席にお願い。
 そうか~、やっぱり口コミって影響が大きいのね。

 30分足らずの短い時間でしたが、御三方ともリラックスした雰囲気で和やかに色々と話して下さってホントに得した気分でした。何より、寸前まで同じ舞台上で熱演していた方々が素に戻って舞台について語ってくれるだなんて、ああ何て贅沢なんだ…と、観劇直後とはまた違った感動を味わえました。

テーマ:観劇 - ジャンル:学問・文化・芸術

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