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ミーハーで蛇足な日記帳もどき。ALFEEを中心に音楽ネタが多いですが 、基本的に何でもアリで節操ありません。
2018/10/17 Wed 21:56
 前回のblogで「そろそろ衣替えをしなければ」と書いていましたが、先日ちゃんと衣替えをしました。生地の厚さなんでしょうけど、秋冬服に比べて春夏服がかさばらず秋冬物が入っていたケースがスカスカ。「こんなに夏服って少なったのか?」と思ってしまいました。多分、錯覚ですね。

 今日は黒澤明監督作品を初めてミュージカル化した作品『生きる』を赤坂ACTシアターで観劇して来ました。

 最初に黒澤映画の『生きる』をミュージカル化すると知った時は、いくら主人公がブランコに乗りながら「ゴンドラの唄」を口ずさむ場面が有名とはいえ、黒澤作品の中でも“静”の作品で主演の志村喬さんの名演が魅力なだけにミュージカルには向かないのでは?と不安が先行。事実、ミュージカルの主演を鹿賀丈史さんと市村正親さんという豪華なWキャストにも関わらず前売りはそれほどでも無かったとか(※終演後のアフタートークで語られていました)。しかし、幕が開けるなり評判が評判を呼びチケットの売り上げが順調に伸びているそうで、素晴らしい映画作品に対してミュージカル界側も最大限の敬意を表して挑んだんだな…と感じましたね。

ミュージカル『生きる』 《内容》
 終戦から7年後。
 市役所で市民課長を務める渡辺勘治(市村正親)は、30年無遅刻無欠勤で毎日書類の山を相手に黙々と判子を押すだけの典型的なお役人。しかも市役所とは名ばかりで地元の住民達が「公園を作って欲しい」と陳情に来ても市民課どころか部署をあちこちたらい回しにするなど、上からの指示にしか従わない形式主義が定着していた。

 ある日、渡辺は体調不良を覚え診察を受けるが、医師から軽い胃潰瘍だから今後も好きな物を食べて良いと笑顔で送り返される。その診断に違和感を抱き自分が末期の胃癌であると悟った渡辺は自暴自棄になり、飲み屋で偶然知り合った小説家(小西遼生)に「人生の楽しみ方を教えてやる!」と夜の歓楽街へと連れ回されるが、連日無断欠勤をしてハメを外し続けても絶望からは抜け出せず、一人息子(市原隼人)との関係も悪化、周囲からも奇異な目で見られる有様。

 しかし、市役所を辞めて転職を考えているという部下の小田切とよと(唯月ふうか)と街で偶然出会い、何度か交流を続けていくうちに生き生きとしている彼女の姿に惹かれ、胃癌で余命いくばくもなく何かしたくても生きる希望もないととよに告白すると、「私はただ工場で玩具を作っているだけ。でも、その玩具で子供たちが喜んでくれるのが嬉しい。あなたも何か作ってみれば」と提案される。その言葉に住民が公園を作って欲しいと市民課に訴えに来ていたことを思い出した渡辺は翌日から市役所に復帰、人が変わったかのように働き出し公園計画を打ち立て周囲を困惑させる。

 …という話で、余命半年を悟った男が「自分が生きた証」を残そうと最後の最期まで必死に市民の為に公園を作ろう!と奮闘する生き様を描いた作品。

 映画ではクライマックスで苦労の末に完成したばかりの公園で、夜、ブランコに乗りながら「ゴンドラの唄」を口ずさみ満足気に命を終わらせていく主人公のシーンは有名で(今回のポスターにもなっている)、舞台でも冒頭で主人公が死ぬまでの物語だと明かされています。
 前半の淡々と進むお役所仕事や死期を悟って憔悴していく主人公を演じる市村さんのくたびれた感じが妙にリアルで、エネルギッシュで若々しいとよへ純粋に惹かれていく姿がヤバいおじさん化していて観ている方も心配になるほど(笑)。しかし、最期の“生き甲斐”を見出した途端、素晴らしいナンバーを歌い上げ活力を取り戻したと見せつける変貌ぶりに圧倒&感涙。
 怒涛の後半では家族や周囲に冷たく当たられようと、やくざの脅しに遭おうとも屈せずに正に命を懸けて公園計画を遂行させようとする鬼気迫る熱意に心を打たれたからこそ、彼の願いが形として昇華した場面には涙を流さずにはいられない。

 確かに一人の男がが死んでいく悲しく虚しい話なのだけれども、その死ぬ瞬間まで様々なものを犠牲にしながらも情熱を捨てずに必死に生き抜いたという余韻に浸れるので、死を悲しむだけの物語ではありません。所詮人間はいつかは死ぬ…と思うより、必ず死ぬんだから一度きりの人生はしっかり生きよう!と奮起させてくれる力強さをこの舞台から感じることが出来ました。

 あのシーンが最後にくると判っているのに、映画とはまた違った演出や展開だからなのか、この作品のエモーショナルがその場面に集約されているのがまざまざと伝わってくるので、今まで抑えていた感情が堰を切ったように溢れ出すような感覚に囚われるんですよ。これは舞台ならではの感覚。
 人目を憚らずこんなに泣いた舞台は久し振りかもしれない。

 しかも、黒澤明作品の『生きる』へのリスペクトは随所に散りばめられている気がしました。
 ミュージカルで明るい雰囲気になっていても、悪役はとことん悪役に徹していて、お役人がそう簡単に変わるものではないと示唆しているし、想い違う親子関係の虚しさや難しさなど、日本発のミュージカルならでは内容だから今後も再演されていきそうな作品です。プロデューサは海外での公演も目指しているそうですからね。

 時間とお金に余裕があれば鹿賀さん版も観たい!



 本公演の後、小説家を演じた小西遼生さんと嫌~な(笑)助役を演じた山西惇さんのトークショーがプロデューサを交えてありまして、15分のミニトークショーながら舞台の色んな裏話を聞けてとてとても得した気分になりました♪

 小西さんは初めて舞台で拝見したのですが、イケメンで小顔で当然のことながら歌唱力もあり、狂言回し的な存在の小説家を飄々と演じる姿が嵌っていまして、ぶっちゃけ物語の一番イイとこ取りをしている役柄なだけに市村さんに次いで印象に残ったお方でした。何気に素でも飄々とされていて、余命いくばくもない役で弱々しさを前面に出している市村さんだけど袖に入った途端めっちゃ元気で「余命は長いですよ」と断言しちゃって最高でした。

 山西さんを舞台で拝見するのは稲垣吾郎さんと大杉漣さんが主演した『象』以来かな。ミュージカルへの出演は3本目とのことでレジェンド(鹿賀さん、市村さん)に囲まれ自分はまだまだ…と仰っていましたが、モブの場面では回を追うごとに他のキャストと子芝居を増やしていると明かしてくれたり、黒澤作品の『生きる』をミュージカル化すると聞いた時は期待半分不安半分の気持ちだったと素直にぶっちゃけたり、何気に今日から『相棒』の放送が始まることも宣伝したりお茶目な感じでしたね。

 ただお二人共、キャラ的に市村さんの素晴らしい歌唱に感涙しても芝居上はウェットになれないキャラなので、ドライに徹しないといけないのが辛いのだそう。でも、一幕の最後で主人公が歌い上げる「二度目の誕生日」は楽屋に控えているキャストは全員静かに聴き入って毎回涙しているのだとか。
 また作曲を手掛けたジェイソン・ハラウンド氏の凄さを小西さんも西山さんもプロデューサも熱く語ってくれまして、某曲に対しての曲調が舞台上の動きとちゃんと連動していたり、音楽理論からもしっかり練られていると教えて下さったので、これはライブ盤CDを予約するしかないかな…とも思ったり。

 素晴らしいミュージカルを観劇して気持ちいいくらいに感涙しまくって、その後に楽しいトークも堪能できて、一つで二度美味しい体験ができました♪


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テーマ:ミュージカル - ジャンル:学問・文化・芸術

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